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      <112>GMS衣料品事業改革は本当に可能か? 
       
       現在のGMSは衣料事業不振に陥り、混迷しています。イオンもイトーヨーカドーを始め、他社も相変わらず苦戦続きです。 
トップ2は各店発注という言葉を見出し、いままでからのチェーンオペレーションからの脱却を図るべく模索していますが、本当に可能なのでしょうか? 
各店発注と本部の役割はどのようなバランスが適しているのか判っているのでしょうか? 
 
方向性は地域密着のローカライズとGMSの特徴のあるカスタマイズの徹底が生き延びるポイントであるのは明白なのですが、現在の体質での変換が可能なのでしょうか? 
方向性や目標が正しくても、それに向かう方法、手段に適した道筋を選択できない環境にあるのではないでしょうか? 
 
つまり、いままでのTOPDOWNの施策から、自ら決定し、改善できうる体質に変換するには時間が掛るものと推測します。 
いままで上を見て指図待ちの状態だったメンバー(経営者層や幹部も含む)が、急に自分で考えろと言われても即できないように、各店発注のフォーメーションはトップが細かく指示できるものではありません。 
 
現場に精通し、全体最適と部分最適を細部まで十分把握し、経験した人材が、どのような組織を構築すればオペレーション機能を果たし、人材育成も兼ねた権限移譲を踏まえ、効果を生み出せるのです。果たして組織構築と運営に長けた人材がいるのでしょうか? 
 
いたのなら今まで彼は何をしていたのでしょうか?間違っている環境や施策の中で黙って指示された仕事に邁進し、結果がでなくても自己責任ではないのに、人事異動で飛ばされたりと不遇の状況に甘んじていたのではないでしょうか? 
組織の中で間違っている事を糾し、改善を上に向かって発信していたのでしょうか?そのような人材に場面が与えられたとしても何ができるのでしょうか? 
自分に意思があってもアクションを起こせていない人に改善など程遠いのではないでしょうか? 
 
これからは自ら考えて行動できる人材育成のためにも、現場への権限移譲が重要なファクターになってくるのです。 
企業経営の基本はすべての社員が自らの考え(経営感覚)を持ち、提案し、決定したら違う意見の持ち主の案でもベストを尽くして事に当たる人材を育成することが必要不可欠です。 
 
GMSには、下記の手法を徹底実行できうる組織構築とそれに向けた権限移譲が必要です。 
 
1.自店に来店されるお客様のニーズ把握(マーケティング) 
 
2.自店に来店されるお客様のニーズに適した商品供給(マーチャンダイジング) 
 
3.自店に来店されるお客様へのプロモーション 
 
4.自店に来店されていないが、その商品を必要とされるお客様へのプロモーション 
 
5.売上に対する必要量の洞察力(妥当な仕入数の判断・在庫管理=MD) 
 
6.その商品を販売するに適した売場構築力(什器と商品レイアウトとVMD) 
 
7.その商品を販売するに適した販売員(商品知識と販売技術) 
 
8.それの全体を管理するマネージメント 
 
9.その他 
 
売場以外にはヒントとマネーが落ちていないのですから、常に現場でヒントや気付きを見つける知力と、それを拾う体力を身につける事が企業を維持向上させていく重要なファクターなのです。マーケットはブルーオーシャンなのですから、マーケティング力とマーチャンダイジング力、それをお客様にお伝えするプロモーション力、そしてマネージメント力のバランスの良い構築が必要です。 
 
2015.10.26 
        株式会社 オチマーケティングオフィス  生地 雅之 
         
       
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